九月十日

九月十日

九月十日は菅原道真（すがわらみちざね）によって詠まれた詞となっています。

菅原道真といえば、政治家・儒学者というイメージを持たれることが多いかもしれませんが深い情感の込められた詞をつくっていた一人でもあるのです。


九月十日の意味を簡単に説明していくと、一年前にあたる丁度去年の今夜、清涼殿において宴のなかで「秋思」の題目をたてられて詞をつくったもののその詞はその場にいる多くの人たちのなか誰一人として感動を覚える様子もなかったために自分一人断腸の思いを詠んだものとなってしまいました。しかし、唯一陛下からは大変なお褒めの言葉をいただき御衣をいただくことになったのです。そんなことがあってから一年たち、今となっては罪にとわれた身となっているもののかつて陛下からいただいた御衣を今でも大切にしており自分は陛下の近くにいることができないものの帝の身を大切に思っている…という意味になるのです。


他の誰もが認めてくれることはなかったものの自分を唯一認めてくれた存在である陛下のことを誠実にいつまでも思う道真の人柄を大いに記した詞となっているのです。

たった一人の言葉を大切にいつまでも忘れることなく覚えて持っていられるというのはステキなことですよね。

近年に暮らしている人たちには是非とも詠んでもらいたい詞の一つでもあります。